チブリの仲間
クロサンショウウオの生活史

クロサンショウウオの生活史

高山帯でクロサンショウウオの生活史を追う!

チブリ尾根では、避難小屋の手前の小池でクロサンショウウオを観察する事ができます。
クロサンショウウオは、北陸地方以北の本州で、低地から高山帯にかけて広く分布しています。
両生類の生活史は不明な点が多く、まして高山帯ともなると、尚更です。
登山道整備の傍らで、チブリの仲間委員長が捉えた、世界唯一無二の高山帯での実生態記録です!

産卵

雪解けした池には、多数のオスが集まってきて、メスを待ちます。
メスが生んだ卵嚢に、オスが放精して受精させます。
チブリ尾根では6月上旬~中旬、産卵時の水温は0~10℃以下です。

卵の様子

一般に、クロサンショウウオの卵嚢は白色をしていますが、高山帯では透明卵嚢になります。
そのため、卵の中を見ることが出来、胚の発達を観察出来ます。
受精したばかりの卵嚢は、血のヘモグロビンが残っていて、少し赤くなっている場合があります。
卵嚢は木の枝に産み付けられますが、雪解けで木が跳ね上がるので、卵嚢が宙づりになってしまいます。
年によっては、大量の卵嚢が宙づりになっている姿を見る場合があります。

卵割・胞胚・嚢胚期

受精した卵は、卵割を繰り返して行きます。
両生類は端黄卵といって、卵の黄身が偏った位置にあります。
黄身は成長の栄養源な一方で、卵割を阻害するので、黄身の位置による卵割の偏りが見られます。

神経胚期

神経板が形成され、体の向きや器官が形成されて行きます。
生物の教科書でしか見た事のなかった、オバQのような卵を実際に見た時は衝撃でした。

尾芽胚期

尾が生えてきて、生き物らしい形になっていきます。

平衡桿・鰓形成期

平衡桿(へいこうかん)はバランサーと呼ばれる、平衡感覚を司る器官です。
水中で呼吸するための、鰓(エラ)も形成されて行きます。
両生類は陸に上がった魚と言われますが、この時期は本当に魚のような姿をしています。
この頃に、卵のカプセルから飛び出して孵化します。6月下旬~7月上旬になります。

肢芽期・指文化期

孵化した幼生は、足が生えて来ます。
カエルの幼生とは異なり、サンショウウオは前足が先に生えます。
前足が生えると、バランサーがなくなります。
足には指が形成されます。
ちなみに、指の数は前足4本、後足5本です。

完成幼生期

幼生は陸上へ上がる、最終変態をします。
エラが小さくなって行き、肺呼吸へ移行します。
足も立派になり、順次上陸して行きます。
早い者は9月上旬から、10月になると池には幼生の姿はなくなります。

何を食べているの?

普段は池の中の小さな虫を、ひたすら捕食しています。 時々、池に生きた昆虫が落ちて来ると、盛んに捕食する姿を見ることが出来ます。