- 日時:2013年6月29日(土)・30日(日)
- 場所:国立登山研修所
- 参加者:初級17名(うち一般8名)、中級9名(うち一般1名)(中級申し込みは13名)
- 講師:2名(石川県連)
- 講師スタッフ:7名
- 運営スタッフ:2名
2013年度のステップアップ講習会が、国立登山研修所で開催されました。昨年度はクライミングの人気が高かったことから、今年はクライミングに焦点を絞り、初級・中級の2コースにわけて実施されました。また、昨年は途中から雑穀谷クライミングゲレンデに移動しての講習でしたが、今年度は登山研修所の室内壁・外壁をフルに利用しての講習としました。単に登るのではなく、色々と知っておいてほしいことを限られた時間で講習するには、登山研修所の施設内で実施することが望ましいとの思いからだそうです(結果として、これは大成功でした)。
熱心な受講者の方々と親切な講師・スタッフの方々により、大変密度の濃い講習会になったのではないでしょうか。初日の夜には室内壁でのクライミング練習も実施され、食事をとってからも飲むものも飲まず、登られる方が多数おられました。
恒例の室内壁での落下者(60kg級人形)の確保も行われました。昨年、初級に相当する内容を受講させていただいた報告者は、中級での落下者の確保を体験させていただきました。現実のクライミングでの確保を想定し、ロープを少し緩ませた状態での確保に臨んだのですが、昨年の初級とは大違い、体が強く引かれ、自己確保がなければ体が大きく飛び上がっていたと思われます。推定200kgくらいの力で確保者が瞬時に引かれるとのことでした。確保器の動画広告で、確保者が宙を舞うシーンを見たことがあるのですが、なるほどこういうことかと実感しました。
リードクライミングでは、トップがロープをたぐるのに合わせて確保者がロープを送り出すので、ロープをたぐった瞬間に落下するようなことがあれば、墜落率がより高い落下を確保することになります。自己確保なしでの確保は、とても危険である、ということを身をもって体験しました。
このほか、確保器を逆向きにしての確保も体験しました。制動側のロープ--この場合は制動側でないほうに通したロープ--を強く握っていても、墜落により1mくらいはロープが瞬時に流れます(確保者としてはロープを流している意識はないのですが、ロープにつけた目印が移動してしまっています)。そのかわり、支点にかかる衝撃は少なくなるとのことです。支点が脆弱な場合は、そういう確保もありうるのかもしれない、ということで施設の方から紹介がありました。他人を確保しているときにこれを試すわけにはいかないので、よい体験でした。ただ、ロープの流れを止めることができないこの確保の感じは、かなり気持ちの悪いものでした。同時に、確保器を普通に使う状態で、支点への衝撃を緩和するためにロープを少し流れさせてから止めるというような技は、かなりの修練が必要だとも実感しました。
2日目には、クライミングの反復練習・コンペに加えて、低酸素室の体験やオートブロックでバックアップした空中懸垂下降、バックアップを確保器の上にするか下にするかを変えた懸垂下降の比較・体験なども行われました。バックアップは確保器の下につけようと強く思った次第です。また、全体を通じてフィギュアエイトノット・ダブルの正しい結び方(余計なねじれを入れない・説明できるようになりました)、フィギュアエイトノット(外外内)、オーバーハンドノットの活用、ATCガイドなどの確保器を用いた懸垂下降での仮固定の方法など、大事な小技を多数ご教示いただき、練習しました。このほか、中級の講師の方によるカウンターラッペリングのデモなども披露されました。
夜のクライミングが終わってからの懇親会も大いに盛り上がり、忘れられない講習会となりました。ご多忙のところお時間を割いて下さった講師の皆様や、講習実施を支えて下さったスタッフの皆様にお礼申し上げます。
初級・中級合同での開会式
初級:室内で確保器の使い方を講習
初級:外壁で確保練習
初級:外壁でトップロープクライミング、このほかリードクライミングも実施
皆さん、上達が早い!
初級:2日目の午前、外壁で懸垂下降の手順を何度も確認、壁の上部から傾斜を変えて3回実施
中級:マルチピッチでの動作の確認
中級:セカンドの確保の動き確認
中級:リードクライミング
室内壁での落下者の確保体験
中級:受講者のチャレンジ
中級:オーバーハングを登る
中級:ラビットノットなど、多様な結びの確認